2016年06月01日

クマと一緒に生活する方法

 熊が出るとか出ないとか、いろいろ大騒ぎしていますが、私はあまり心配することはないと思っています。むしろ大げさに騒ぎたてて人々の外出が少なくなると、クマたちはどんどん人間の領域に入り込んできます。そちらの方が心配です。

 とは言うものの不安でしょうから、クマに出会った時の対処方法を述べておきたいと思います。熊に出会ったらどうするか? 実は、これといった決め手はないんですよね。なぜならば、クマの知能指数が高いからです。つまり学習能力が高いために、個体によって、クマの性格が全く違ってくるのです。

 私は20年位前に知床半島の山の中で37回昼間に出会っていますが、クマの習性は地域によってまったく違っていました。斜里町側と羅臼町側では、まるで違っていましたし、同じ羅臼町でも一山超えると全くキャラクターが違っているんです。たとえば、民家のある相泊では、犬を鎖で繋いでいるために、クマが犬を食べちゃう事例がありました。しかし、そこから5時間ぐらい歩いていったところの漁師小屋では、犬を放し飼いで買っていたために、クマは犬を恐れて漁師小屋に近寄りません。その漁師小屋は、無人の時にクマが侵入して、ジュースだのお酒だのを食べているにもかかわらず犬を恐れて近寄ってこないんです。面白いのは、その犬というのは、チワワに毛の生えたような豆柴犬なんですよ。

 おもしろかったのは、ルシャというところの漁師たちとクマたちの関係です。そこにはヒグマが大量にいるわけですが、お互い共生して生きていました。目と鼻の先で、クマと漁師が生活しているわけですが、クマたちが、林道に入り込むと、漁師たちは車で追いたてます。クマはすぐ逃げちゃいます。といっても、林道から5メートルぐらい藪の中に入ったら、漁師たちは放置したままです。だからクマたちは、林道に入らないように、 1日中、蕗を食べています。こうして目と鼻の先で、共に生きているわけです。

 こういうことが可能なのは、クマの知能が高いからなんですよね。知能が高いから個体によって性格の差がありすぎる。つまり、クマに対する対処方法というのは、これといった決め手がないわけです。傘を開くと逃げるクマもいれば、逆に向かってくるクマもいます。火を恐れるクマもいれば、恐れないクマもいる。逆に言うと、その知能指数の高さを、学習能力の高さを利用して、クマに対処することもできるはずです。

 知能の高い動物は基本的に臆病です。
 用心深い。

 だからこちらからサインを出して、相手に用心させれば、相手の方で勝手に消えてくれることが多いはずです。もし、出会ったら、動かずに、じーっとにらみつけること。場合によっては戦う事。絶対に死んだふりをしてはいきません。日本においては死んだふりをして助かった事例はないです。これはその昔、たくぎん総研というシンクタンクが、過去の事例を調査して、死んだふりをしてはいけないという結論を出しているんです。たくぎん総研の報告では、鉈で戦ったケースが生還率が高いと書いてました。臆病な動物ですからクマも驚いたのでしょう。

 話わかりますが3歳以上の日本犬が、あれほど排他的で攻撃的なのは、私たちの祖先がクマに対して対処するために改良した結果だと私は推測しています。クマ臆病ですから、日本犬が放し飼いにされているところに近づかなかったと思います。だから訓練した日本犬を放し飼いにしていれば、クマたちは嫌がって近づかないはずです。とは言うものの、今の日本の社会ではそういうことが不可能なので、別な方法をとるべきです。

 その方法というのは、クマたちに何らかのサインを送ることです。例えば、来て欲しくない場所に、電気柵を作るとか、定期的に爆竹を鳴らすとか、徹底した下草刈りをすれば、クマたちは移動せざるを得ません。もともとクマというのは、あまり移動しない動物です。1年を通して、ずっと同じところに生活している。移動距離も、 100メートルとか、せいぜい500メートルぐらいです(秋を除く)。

 あと山菜とりに一人で入る人がクマに襲われる例をよく聞きますが、ほとんどの場合営林署の林道ではないでしょうか? 営林署の林道は、滅多に車が通りません。もちろん一般車も通れませんので、クマにとっては自分の庭みたいなものです。林道の脇には山菜が沢山ありますので、それを親子のクマたちが食べます。子熊と母熊が、林道をはさんで両側にいる場合、そこに人間がきたら非常に危険です。あと、子熊は2頭いるのが普通です。合計3頭が広範囲に散らばって山菜を食べている。そこに人間が入ることは、非常に危険です。

 あと、ヒグマの親子は、 2年くらい一緒に行動します。ツキノワグマも恐らく同じだと思いますが、クマたちは子離れが遅いんです。逆に言うと、子熊でも2年目の子熊がいる可能性があります。皆さんが巨大なクマだと思っていても、それは好奇心の高い子熊の可能性もあるわけです。熊の目撃例の多い年は、そういう若い子熊が大量に出ている可能性もあります。

 で、よく言われるのが、そもそもクマは、あまり移動しないんですよね。秋は別にして、春も夏もそんなに移動はしません。つまり1カ所にとどまって動かないんです。食べてばかりいます。で、そこに突然人間が現れるとびっくりして襲ってくる可能性が出てきます。しかし大抵の場合は、向こうから気がついて、そそくさと逃げていきます。仮に、大きく立ち上がったとしても、どーんと地面を叩いて逃げていくだけです。逆に姿勢を低くして、こちらをじっと見つめている時は危険なようです。そういう場合は、こちらも動かずに、じーっとにらみつけるのが有効のようです。

 あと油断ならないのは、熊も病気をするということ。知床の事例で記憶しているのですが、人間に突進してくるクマがいて、それを打ち殺して解剖してみた事件がありました。そしたら、そのクマは末期ガンだったんです。つまり、余命短いクマで激痛に苦しんでいた。激痛ために冷静な判断ができなくなり、用心深さも吹っ飛んでしまって、人々に突進してきた可能性があるんです。そういう事例もあるんですね。まあそういうことも、頭の隅に置いて、もともと用心深い動物であるということを念頭に、一緒に生活していけばよいのではないでしょうか?

 ある意味、それだけ自然が豊かであるという事なので、これも立派な観光資源です。
posted by ss at 10:39| クマ・熊 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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